
価格設定(プライシング)はプロダクトの売れ行きを決める最も重要なファクターである。
それ故にプライシングの場面では、企業は、アンケート調査などの市場研究を繰り返したり、競合の動向を細かくチェックする。
市場原理に従えば、製品のプライシングは需要と供給によって決まる(詳細はこちらの記事)。需要と供給のバランスが崩れれば、価格が変化し、再び新しい需要と供給でバランスする。これを均衡点と呼ぶ。
製品の価格を、本来の均衡点からズラす事によって、需要をコントロールする事ができる。時には需要・供給という概念から離れた役割を価格が演じる事もある。
例えば、コンサートのチケットの話。
ローカル・テレビでは、コンサートの前にチケットを取るために何日も屋外に並んでいる若者達の映像が定番になっているので、そのような行列がなぜできるのか誰も疑問に思わない。コンサートの主催者は需要が均衡し、誰も列に並ぶ必要がなくなるところまで何故価格をあげないのだろう。
興味深い問題提起だ。確かに価格を上げれば収益も増えるし、ましてや当日販売に必要な販売経費も削減できるはずだ。このケースでは、需要と供給の均衡点を価格として設定した方が、よりスマートなやり方でより収益を上げられるようにみえる。
しかしこの例のように、均衡点よりも低い価格設定をすれば、当日券としての長蛇の列がメディアに取り上げられ、コンサートの知名度が高まる。同時にアーティストが広く認知され、別の作品の売上があがるかもしれない。
別の例では、価格が特別な集団を選定するための手段となっている。
このビルの評判を高めるために、トランプは大きなリスクをとった。マンションを、市場価格をはるかに超える価格、「人類がこれまでに払った最も高い価格」で売ろうとしたのである。(略)このプロジェクトは成功をおさめ、不動産業におけるブランド名としてのトランプが誕生したのである。
社会ステータスが最も高い層(要は超金持ち)にとっては、価格は価値の尺度ではなく、とある「特別な」社会グループを作るための選別手段となる。よってありえないくらいの高級マンションは、住民を選定し、結果的に超高所得者のみを呼び寄せた。
価格は単に上下だけの話ではない。回収時期をズラすというやり方もある。月額会費制にするやり方や、成果ベースの価格設定がそうだ。
価格の設定(プライシング)は、提供する商材の価値を回収する方法そのものである。つまりビジネスモデルの根幹だ。顧客とのWin-Winの関係構築が必要不可欠になるが、その上で新たなビジネスを展開する重要な要素である事は間違いない。
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