我が家の薄型テレビは5年前に購入した。価格.comなどの格安サイトと比較し、かなり安く買った(つもり)。しかし、現在の市場価格と比較すると、なんと2倍以上の価格で購入している。薄型テレビの価格は急速に下落した。
5年間における薄型テレビの変化を考えてみると、消費電力を抑えたり、3Dや直接録画機能など付加機能が充実しているものの、なかなか消費者価値と結びついていない。
その結果、コスト構造的な優位性を持つ中国・台湾勢の薄型テレビへの市場参入を許したり、EMS(受託製造サービス)などの活用する格安テレビの登場により、薄型テレビの市場価格は継続的に下落してきた。
初期の薄型テレビは、それなりの高収益市場に位置づけられていただろう。薄型テレビ市場の成長と拡大、収益性を求めて、各社がこの市場に参入してきて、そして瞬く間に利益率が低下していった。その結果、かつては薄型テレビのトッププレーヤーであったパナソニック、シャープ、ソニーなど日系企業が苦戦する結果に追い込まれた。
その追い込まれた理由を考えてみよう。
1. バリューチェーンを再構築し低価格な薄型テレビを実現
薄型テレビ市場への後発参入組は、とにかく価格が安い。
VIZIOやバイ・デザインなどの後発参入組は、安い現地の労働力を活かしたEMS(受託製造サービス)を活用し製造コストを圧縮した。
さらにこれまでの流通チャネルを使わずネットでの販売に特化し、販売コストを抑える企業もある。
このように従来の薄型テレビ市場の「バリューチェーンを再構築」することにより、既存企業より製造コストを抑え、薄型テレビ市場への参入を果した。
2. ニッチを狙う新規参入組
薄型テレビ市場への後発参入組は、既存のプレイヤーと真っ向勝負をしていない。
ネットで限定販売したり、家電量販店ではなくパソコン専門店や大手スーパーと協業した。独占契約できれば競合は参入しない。
このようにして販売コストや宣伝費を抑えた上で、ニッチなセグメントを狙って市場に参入した。
3. 参入障壁を高くできなかった既存企業
このような新規参入組の市場参入コストを高くし、参入障壁を作るために、既存のプレイヤーは市場に付加価値をつける。
テレビ市場も、従来のブラウン管から薄型へと移行したとき、ブラウン管テレビ市場で活躍した格安メーカーの多くが、薄型テレビ化できず市場から閉め出された。「テレビの薄さ」が参入コストを高くした。
薄型テレビ市場の既存プレイヤーも3Dや省電力、DVDやブルーレイの標準搭載などを試みたが、新規参入組が市場に介入し、薄型テレビの価格が急速な下落を止められなかった。
新規参入プレイヤーからみれば、既存プレイヤーが市場製品に付加価値をつけ消費者の支持を得るよりも早く、価格の下落に成功し、市場の参入に成功したといえる。
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薄型テレビ市場はこうして、多くの企業に新規参入を許してしまった。その結果、従来のプレイヤーはコスト構造に耐えられず撤退や規模縮小を余儀なくされた。
「バリューチェーンの再構築」、「ニッチを狙う」、「既存市場の価格崩壊」のいずれを使う形で新規参入組が市場参入をはたすのは、薄型テレビだけではないだろう。より多くの市場参入にもこの3つほ方法は有効なのではないだろうか。
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