もう大分古くなってしまうのだけど、日経MJにちょっとしたトレーダー・ジョーズの記事がありました。トレーダー・ジョーズは日本ではなかなか聞き慣れない名前かもしれませんので、まずは簡単に説明します。
・トレーダー・ジョーズはアメリカの食品スーパーであり、チェーン点として全米に約338店舗ほど展開している(出典:Wikipedia)
・平均280坪の小さな店舗だが、繁盛店は約23億円を売り上げる。(業界平均の2倍)
・チラシは年に3回のみ。
・対面販売はなく、生鮮や総菜の品揃えも限定的。
・こだわりの商品を展開するため、著名なNB(ナショナルブランド)がほとんど無く、現在85%がPB(プライベートブランド)商品。
これだけ見ると、誠に不思議です。品揃えが少なく、広告もしない。しかし、業界平均の二倍の売上をする。
その答えは、ターゲティングにあります。トレーダー・ジョーズがターゲティングしているのは、「WELL EDUCATED, UNDER-PAID」なのです。つまり、教育水準は高いがそれなりの収入を得ていない人たち、になります。
はて、こんな人たちが、世の中に多く存在するのか?と疑問が残ります。ターゲットとするセグメンテーションは、到達可能であかつ十分に参入すべき規模が無くてはなりませんよね。
日経MJによれば、この解も面白いです。つまり、「WELL EDUCATED, UNDER-PAID」は、言い換えてしまうと、
知的水準が高いので商品の対するこだわりはあるが、可処分所得が低い人たち(日経MJ 2009年11月27日号)
となる訳です。この層をターゲットとするなら、商品のこだわりは買い手の能力によって見分けられるので、ブランドは不要。つまり、こだわりのあるより良い商品を格安に提供できればそれで良い訳です。
トレーダー・ジョーズの面白い点は、全てのこの一点に資源投下を集中してしまったところです。そして、「こだわりのあるより良い商品を格安に提供」する事以外は、大半省略されてしまっています。広告をしなかったり、対面販売をしない理由もここにありますね。
そうです。ポーターの競争戦略フレームワークにもありますが、ターゲティングを絞り込み、顧客が認める特異性を追求するときには、差別化集中戦略が有効です。つまり、一点の優位性=顧客が認める特異性、と設定したならば、とことんそれを追求する。そのためには、アセット(ヒト、カネ、モノ、情報)をこの優位性を実現するために集中投下していきます。
非常にベタなマーケティングの基本を実行し成功を収めているのがトレーダー・ジョーズですね。
ー(追記)ー
それに加え、トレーダー・ジョーズが選んだ優位性は、小売店として非常にランニングコストを安く押さえる事が可能なモデルです。つまり、運営側にも非常に大きなメリットがあります。
さらに、トレーダー・ジョーズではこだわりの格安品が広告もされずに安く売られている訳です。これはまさに掘り出し物的な存在であり、クチコミの素材としては見込みがあると思います。

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