国内通信大手のKDDIが、ケーブルテレビ最大手のJ:COM株を保有する会社の関係会社を3,617億円で買収しました。これにより、J:COMの筆頭株主となりました。
固定通信市場でブロードバンドと言えば、フレッツの独壇場です。今日の日経新聞によれば、NTT東西によるシェアはその半数を超えています。
KDDIの社長会見(日経新聞より)によれば、光ファイバー(通信の基盤インフラ部分)をNTTが提供する光ファイバーに依存しているが、この状況から脱却したい、との事でした。
確かにそれもあるでしょうけど、この背景には事情がありそうです。
通信業界は、ここ数年での買収・統合などにより、随分と垂直統合が進んできました。米国ではトリプルプレーやクワドラ・プレーなどと呼ばれ、固定通信(電話、インターネット)、携帯電話、テレビサービス、という関連サービスを一社で提供するようになってきました。
このような各社の取組みにより、差別化は比較的難しくなってきていました。
売上で見れば、NTTグループが12.4兆円と、KDDI(3.7兆円)、ソフトバンク(2.8兆円)を完全に引き離しています。そもそもこのシェアの大きさからみてもNTTに優位性が存在する事は明らかです。
KDDIの競合にあたるソフトバンクは、かつてはADSLで派手に国内展開したものの、ボーダフォンの買収をきっかけに、iPhone を採用するなど、移動体通信に積極的になっているように見えます。現状では、大型投資は厳しいものの、有利子負債の返済目途がたてば、移動体通信に大きくシフトしてくるようにも思えます。また、関連企業にYahoo! Japan もあり、コンテンツ側でも大きな優位性はありますね。
こうなると、KDDIの優位性は?という疑問があります。
一昨年くらい前までは、LISMOというコンテンツ系のブランドを立てて比較的良い印象がありましたが、昨年のブランド変更により、KDDIの特徴が見えにくくなってきているような気がします。
一つの着目点が、ケーブルテレビ事業なのでしょう。NTTの光ファイバの代替という考え方もあるかと思いますが、J:COMの持つ加入者と、ケーブルテレビというビジネスの質という点も考えられると思います。
野村総研が発行する「これから情報・通信市場で何が起こるのか」にあった、国内のブロードバンド回線数と国内の回線種別マーケットサイズのそれぞれ予測から、回線当たりの収益性を計算してみると(下図、縦軸の単位は円。)、

このようにCATVが、1,000円以上、ADSLやFTTHに比べて高くなっています。
やはりケーブルテレビから想定される回線当たりの売上高(ARPU)は他のブロードバンド回線に比べて高いです。KDDIはここにビジネスチャンスを見ているのではないでしょうか。
そろそろ頭打ちが想定されているブロードバンド回線、次の一手は、回線契約あたりの売上高を高める事ですね。FTTHやADSLだけで、既に安いサービスを提供している他社からみれば、値段のみをむやみに上げるわけにもいかないので、回線契約あたりの売上高を上げる事に対しては苦戦すると思います。ケーブルテレビの会員という回線当たりの売上が既に高い顧客を持つ事は、他社に対して一歩抜きんでていると言えるでしょう。

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