業界環境分析では、市場規模、市場成長性、業界流通構造(ビジネスシステム)、コスト構造など、幅広い角度の分析が必要になります。そしてアウトプットは、これらを体系的に結びつけた提言を行う必要が出てきます。
■市場規模、市場成長性、市場シェア
市場規模、市場成長性は、既存データに頼るしかありません。例えば、百貨店、自動車、アパレルなどの一般的な属性であれば、ある程度市場データが存在します。このデータを活用して、市場規模と市場成長性を割り出します。そして、市場内のプレーヤーとその強さを把握するために市場シェアのデータも入手したいところです。
市場規模は、市場の大きさを示します。1兆円産業と、1億円産業では、獲得できる売上げ見込みが大きく変わってくるだけでなく、コストにも影響してきます。この大きさはまずは把握しておくべき数字になります。
市場成長性は、今後の市場の伸びを尺度とし、今後の自社の戦略の参考にします。急成長する産業であれば、シェアを維持したままでも売上が伸びます。逆に斜陽産業であり、今後市場成長がマイナス局面に陥る場合は、撤退や規模縮小というマーケティング戦略も考えられます。
市場シェアは、業界内での戦略アプローチの参考となります。市場のトップ(リーダー)である場合は全方位戦略、二番手以降でも、リーダーを模倣する、もしくはニッチセグメントを攻めるなど、戦い方やポジショニングにも影響してきます。
以上の、市場規模、市場成長性、市場シェアの3点は、業界分析の基本三要素になります。マーケターとして、これらの3点は、日ごろからどこにデータのありかと最新データの更新の有無を把握しておくことをお勧めします。
■市場の評価
しかし、単にこの3点を調べただけでは、マーケターのアウトプットとしては不十分になるケースが多いでしょう。つまり、市場規模、市場成長性、市場シェアのデータだけでは、戦略に活かせる十分な洞察が得られないためです。これ以上の調査・分析を行うには、その方法は無限にありそうでかつ、時間がかかります。そこでお勧めするのが、マイケル・ポーターのファイブ・フォース・モデルです。
このモデルでは、5つの要素から市場の魅力度を判断します。つまり、売り手と買い手、業界内の競合他社、代替品、新規参入の要素を調べることになります。例えば、買い手・売り手では、ブランド力、スイッチングコスト(他社製品に変更する場合、かかる時間・手間・金銭的な要素の集合)などがあげられます。
もちろん、ファイブ・フォース・モデルのアウトプットとして、業界の競争の激しさを評価し、魅力度、もしくは脅威に対する守りのオプションを検討します。それと同時に、業界の競争ルールの変化の兆しを見抜く必要性もあります。
例えば、新聞業界はインターネットの登場により、収入源の一部としての広告の在り方、ネットの活用方法などを含め競争の方法が変わってきました。逆にデルのように、これまでのPC業界での流通の在り方を根本から変えるようなモデルで、市場に参入し、業界のリーダーの地位を獲得した企業もあります。

コメントする