キリン「フリー」が売れる理由

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 キリンのノンアルコールビール、「フリー」の売上が伸びています。2009年4月の販売開始当初の63万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売目標から、今月には3度目の上方修正で、350万ケースへと引き上げました。どうしてこんなに大きくヒットしたのでしょうか?ちょっと考えてみようと思います。

 キリンフリーの特徴は、
  • 世界初のアルコールが完全に0.00%飲料であり、ここは従来の製品ではなし得なかった点。
  • カロリーが低い。
  • ビール風味飲料という新しいカテゴリーに属する

 でしょうか。

 さて、まずは、マクロ的な部分から考えて行きましょう。
 飲酒運転罰則の強化。「強化された」から、ノンアルコールビールを飲む・・・というのは本来ならあってはならない話だと思いますが。ただ、完全ノンアルコールビールを飲む事によって、リスクを避けたいという思いはありそうです。

 これ以外には、単純に飲み会などで、お酒が得意じゃない人が「ウーロン茶」で乾杯するよりも、雰囲気だけでもビール飲料飲料で参加できれば・・という思いもあるでしょうけど、これは特に社会的な変化は影響しませんね。

 市場規模としては、ビール系飲料が年間に5億ケース。そのうち第三のビールと発泡酒が合わせて2億ケースくらいです。やや縮小気味の市場。高齢化と若者のビール離れが主な原因と考えられているようです。(日経市場占有率より)

 フリーを「ビール」と結びつけるとしたなら、、フリーの350万ケースというのは、まだまだ非常に小さい数字であり、ビール系飲料の市場からみたら「ニッチ」です。ただ、味や飲むシーンから考えたら清涼飲料水系とはとても考えられません。そして、定常的なノンアルコールビールファンというのも存在するとは思えません。

ちょっとマーケティングミックスについて考えてみます。
製品(Product)は、アルコール成分を「0.00%」とし、完全ノンアルコールを実現しました。また、これまでの発泡酒やビールと同じく、ラベルが緑と何となくカロリーの低さを象徴しています。値段(Price)は、実売価格が130-140円程度で、従来の第三のビールや発泡酒と大きな違いがありません。流通(Place)もほぼ同じでしょう。
ここまで見ると、ビールカテゴリと捉えた場合、大して売れていないし、製品としてノンアルコールを実現したとはいえそれ以外に大きな話題を生む要素があるとは思えません。そして、リピーターが存在するとも思えないです。ノンアルコールビールを定常的に買う人は、いたとしても相当なマイノリティ(少数派)のはず。
するとやはりプロモーションのうまさが決め手?
日経MJ(10月19日号)によれば、キリンフリーのメディア露出は、定期的なテレビCMをしています。それに引きずられる形でテレビ番組放送が増えています。意図的かそうじゃないにしても、広告とPRの組み合わせはうまく機能しているようにみえます。そして、テレビ番組放送で取り上げられた後、キリンは、「フリー」販売目標の上方修正をしています。その後、またテレビCMを行い、同様の流れが数回おきています。テレビCMはその市場規模が縮小する傾向にはありますが、まだまだ偉大なメディアである事は言うまでもありません。
しかし、キリン「フリー」の当初の販売目標である63万ケースはいくらなんでも小さすぎる?保守的な目標を設定した可能性がありそうですね。それにしてもうまい。つまり、目標値を大きく下回るとしたら、株価にも影響がありうる。これは困ります。低く設定すれば、上記のようなCMとPRの効果的な連鎖効果も期待できるでしょう。つまりCMして消費者の注意を引きつけ、番組が取り上げ、消費者が試し買いする事によって売上が伸びて、販売目標の上方修正を行う、と。「フリー」は、ニーズから考えても定期的に購買する「ファン」が少なそうな製品ですので、このような仕掛けをするのが一番効果的な方法に見えます。
ブログでの書き込みも定常的にあるようですが、ある時期にその書き込み数がビークにならないのは、消費者がキリン「フリー」の情報をネット経由で検索しない事にありそうです。そもそも検索しなくても、だいたい想像できそうな味ですし、売り切れにもなっていない。まぁ、あるとしたら、「まずくないのか?」くらいでしょう。飲み会でお酒が飲めない人が、ウーロン茶かフリーで迷うなら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、どちらも値段的にも味覚も大差ない?

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このページは、Caericが2009年10月25日 09:50に書いたブログ記事です。

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